サリーとアン課題から見る「心の理論」と発達障害──大人になってもわからないということはほぼ無い

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発達障害

発達障害についての理解が進むなかで、「サリーとアン課題」はよく紹介される有名な実験です。これは、自閉スペクトラム症(ASD)と呼ばれる人たちが「他人の心をどう理解するか」を示す重要なヒントを与えてくれます。

この課題に幼い自閉症児はつまずきやすいとされますが、成長することで理解できるようになる人も多いとされています。では、なぜ大人になっても理解できない人が存在するのでしょうか?

サリーとアン課題とは?

簡単に説明すると、「サリーとアン課題」は、他人の「誤った信念」を理解できるかを試す実験です。

1. サリーはボールをカゴに入れて部屋を出る。

2. サリーがいない間に、アンがボールをカゴから箱に移す。

3. サリーが戻ってきたとき、ボールをどこに探すか?

このとき「カゴ」と答えられれば、「サリーの視点(=誤った信念)を理解できている」ということになります。

通常の発達と自閉スペクトラム症の違い

定型発達の子どもは、4〜5歳ごろにこの課題を正答できるようになるのが一般的です。一方で、自閉スペクトラム症の子どもたちはより年齢が上がってからでないと正答しにくい傾向があります。

これは、ASDの人がもつ「心の理論(Theory of Mind)」の発達に遅れがあることを示しています。

それでも自閉症の人は理解できるようになる

重要なのは、自閉スペクトラム症だからといって「一生理解できない」わけではないということです。以下のようなプロセスで獲得していく人も多いのです。

• 経験や訓練によって、他人の立場を想像する力が育つ

• 自分の失敗や他人との衝突から、内省する力が身につく

• 周囲のサポートや療育、教育を受けることができた

このように、時間と支援次第で「サリーとアン課題」を正答できるようになる人は多いのです。

大人になっても理解できない人は、なぜいるのか?

では、大人になっても他人の立場や心情が理解できない人は、何が違うのでしょうか?

1. 重度の発達特性がある場合

成長しても「心の理論」がほとんど育たない人もいます。これは少数派ではありますが、ASDのなかでも社会的認知の困難が強く出る人です。

2. 形式的には理解しているが、実行機能に問題がある

知識としては「人の気持ち」を理解しているのに、それに合わせて行動するのが苦手という人もいます。これは「認知の問題」というよりも、「実行機能」や「感情調整」の難しさによるものです。

3. 性格・価値観・育ちの問題

必ずしも発達障害とは言えないまでも、共感力の乏しさや自己中心的な性格、あるいは共感を育む環境が乏しかった人もいます。この場合も、他人の気持ちに鈍感であることが見られます。

4. 本人にとって重要でない場合

たとえ心の理論を理解していても、それを使おうという動機がなければ、他者の視点を考えようとしません。仕事や人間関係に興味がない、他人に関心が薄いなどの理由もあります。

まとめ

• サリーとアン課題は、「他人の誤信念を理解する力=心の理論」を測るテストです。

• 発達障害の子供は定型発達の子供より理解できるようになる年齢が高い傾向がありますが、通常、子供のうちにわかるようになり、大人になってもわからないというのは、ほとんどありません。

• それでも大人になってもわからない人がいるのは、「認知の特性」や「環境」、「性格的要因」など複数の理由が考えられます。

• サリーとアン課題は発達障害の人には解けないという誤った知識による思い込みかもしれません。

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