今から約20年くらい前の事、携帯サイトや携帯ブログでは「多重人格(現在の解離性同一性障害)」が一部で賑わっていました。流行した背景には当時の文化やインターネット環境の影響が大きく関係しています。以下に、2000年代前後の携帯インターネット文化と「多重人格」の流行についての情報をまとめます。
1. 時代背景
• ガラケー全盛期(2000年代初頭~中盤)
携帯電話の普及により、ガラケー専用のサイトやブログ(いわゆる「モバイルブログ」)が活発化。特に、個人が簡単に日記や創作を公開できる無料サービス(例:mixi、魔法のiらんど、モバゲー、GREEなど)が人気を博しました。
• ケータイ小説文化の流行
ケータイ小説は感情的でドラマチックな内容が支持され、多重人格やトラウマなどのテーマがフィクションの中でよく扱われていました。これが、多重人格への関心を高める一因となりました。
2. 「多重人格」が注目された理由
• 心理学やサブカルチャーの影響
1990年代~2000年代には「多重人格探偵サイコ」や「ファイト・クラブ」など、多重人格を扱った作品が話題になりました。この影響で、「多重人格」が神秘的で興味深いテーマとして浸透しました。
• ドラマチックな個性の表現
当時のブログでは、書き手が「別の人格」として投稿する形式が流行しました。これは、自己表現の一環として「多重人格」を取り入れたもので、実際の診断ではなく創作の延長線上にあるものが多かったと考えられます。
• 匿名性と創作の自由
携帯ブログでは匿名性が高く、自由な表現が可能でした。そのため、多重人格というテーマを自分の個性やストーリーとしてアピールすることがしやすい環境でした。
3. 特徴的な内容
• 「人格の切り替え」の日記形式
書き手が「〇〇(別人格)が今日は日記を書いています」といった形式で投稿することがありました。人格ごとに口調や性格を変え、読者を引き付けるスタイルが特徴的でした。
• 過去のトラウマの告白
多重人格の背景として「辛い過去」や「虐待」などが語られることが多く、読者との共感や同情を得る目的があったと考えられます。
• ファンタジー的な要素
実際の解離性同一性障害の症状とは異なり、人格が魔法の力を持つ、特殊なスキルがあるなど、ファンタジー的な要素が加えられることもありました。
4. 批判や問題点
• フィクションと現実の混同
実際の解離性同一性障害と携帯ブログ上での多重人格の描写が混同され、誤解やステレオタイプが広まる原因になりました。
• 「虚偽」や「なりすまし」の指摘
一部のユーザーが「多重人格」を名乗ることに対し、信ぴょう性を疑問視する声もありました。「病気を真似しているだけではないか」といった批判もありました。
• 精神疾患への偏見の助長
病気を「興味深いキャラクター」として消費する傾向があり、実際の患者が抱える苦悩や困難が軽視されることも問題視されました。
5. その後の影響
• 社会的認知の変化
現在では「多重人格」という言葉は使われず、「解離性同一性障害」という医学的な用語が普及しています。当時の流行が、病気に対する興味や理解を深める一助になった面もありますが、同時に誤解を招く結果にもなりました。
• ブログ文化の衰退とSNSへの移行
携帯ブログが衰退し、TwitterやInstagramなどのSNSが主流になるにつれ、多重人格に関連する自己表現の形式も変化しました。
6.ブームのその後
現在でも、ネット上のコミュニティで多重人格の人は存在しています。特徴的なのは、多重人格という言葉がほとんど使われなくなり、解離性同一性障害という現在の正式名称が普及していることです。また、DIDという略称を使う人も多いです。また、人格が交代でブログを書くみたいなわかりやすい状態もあまり見られなくなりました。ブームの頃から、真偽を問題にされることが多く、見る人が疑ってかかることはよくありました。現在でもこの病名を名乗る人は、本物だと思ってもらいたい気持ちが強く、そこにこだわりがあるようです。個人的にはネット上で見かけるだけの相手がそうであろうとなかろうと、どっちにしろ変わらないと思います。偽物だと責めることにも意味はないかと思いますね。
まとめ
当時の携帯ブログで「多重人格」が流行した背景には、時代特有の匿名性と創作文化がありましたが、現実の病気とは異なる形で消費される側面もあったと言えます。その文化的影響は、現在のネットコミュニティにも少なからず引き継がれています。

