精神疾患の回復には、身体の病気とは違ったむずかしさがあります。風邪なら熱が下がれば「治った」と言いやすいですが、精神疾患の場合はそうはいきません。症状が落ち着いても、「本当に治ったのか?」「また再発するのでは?」という不安がつきまといます。
医師にも「治ったかどうか」は即答できない
精神疾患は、血液検査や画像診断で完璧に判定できるものではありません。診断は、症状の経過や生活への支障の有無などを総合的に見て行われます。ですから、医師にとっても「もう治りましたよ」と明確に言い切るのは難しいのです。
そのため、最終的に「治った」と感じられるかどうかは、患者本人の実感に委ねられる部分が大きくなります。
回復しても「治った」と思えない心理
例えばパニック障害では、何年も発作が起きていなくても「また起きるかもしれない」と思い続ける人が少なくありません。
・発作が怖かった記憶が強烈に残っている
・一度経験した不安は「再び起きるのでは」という予期不安に変わる
・「治った」と言ってしまうことで気が緩み、また悪化するのではという恐れがある
こうした理由で、回復しても「治った」とはなかなか思えないのです。
「治ったと思うこと」もひとつのステップ
治ったと思うこと自体が、大きなハードルであり、勇気を必要とします。
「治った」と思えた瞬間は、症状の消失だけではなく、再発への恐れよりも「もう大丈夫」という自信が勝った瞬間なのかもしれません。
これは医学的な判定とはまた別の、本人の人生にとって大切な節目といえるでしょう。
無理に「治った」と思わなくてもいい
大事なのは、「治った」と口にすること自体ではありません。
「治ったかどうかわからないけど、今は生活に支障がない」
「また不安になるかもしれないけど、うまくやっていけている」
そういう実感の積み重ねが、結果的に「回復」の証になるのではないでしょうか。
まとめ
精神疾患の回復は、症状がなくなることと同じくらい、「治ったと思えるかどうか」にも関わっています。けれど、それは決して一足飛びにたどり着けるものではありません。
治ったかどうかは、精神疾患では医者が判断するのも難しい場合があり、患者の主観も大切です。「治ったと思うのにも勇気がいる」と、こんな気持ちから、なかなか自分の状況を客観視できなくなっている人もいるのではないでしょうか。

