インターネットを見ていると、プロフィールや自己紹介の欄に「うつ病・双極性障害・発達障害・PTSD・境界性パーソナリティ障害…」といった具合に、たくさんの精神疾患の名前を並べている人を見かけます。
これを見ると「精神科では一人の患者さんにこんなにたくさん診断をつけるのだろうか?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
医療現場では、診断は整理される
精神科の診断は、症状の特徴や経過から「いちばん説明力のある病名」をつけるのが基本です。
たとえば「眠れない」「不安が強い」「気分が落ち込む」といった症状が同時にあっても、最終的には「うつ病」と診断されることが多いです。
つまり、症状ごとに病名が別々につくのではなく、ひとつの大きな診断にまとめられるのです。
併存診断はあるけれど、数は限られる
もちろん、複数の病気が同時に存在する「併存(合併)」もあります。
たとえば…
• うつ病 + 不安障害
• 統合失調症 + アルコール依存症
• 発達障害 + パニック障害
こういったケースは実際にあります。
しかし、診断が5個も10個も並ぶことはまれで、多くても2〜3個程度に整理されるのが一般的です。
ネットに多い「自己紹介に病名列挙」
それでは、ネット上で病名をたくさん名乗る人が多いのはなぜでしょうか。
理由はいくつか考えられます。
• 自己診断や情報の寄せ集め
本やネットの説明を読んで「これも当てはまる」と感じたものをそのまま名乗っている。
• 過去の診断がそのまま残っている
医師が経過の中で診断を変更しても、本人が「全部の診断がついた」と思っている。
• アイデンティティとしての病名
病名を並べることで、自分を説明したり共感を得たりしやすくなる。
まとめ
精神科の診療では、ひとりにたくさんの診断がつくことは普通はありません。
診断は整理され、今の症状をもっともよく説明できる病名が選ばれます。
ネットでよく見かける“病名コレクション”は、正式な診断名ではなく、自己診断や経過中の仮の診断の寄せ集めである場合が多いのです。
精神疾患には、うつ病と適応障害など、通常、併存診断されない組み合わせもあります。しかし、それらの病名を列挙している人もしばしば見かけます。この場合はやはり、本人が診断を勘違いしている可能性が高いと思われます。
一部の精神疾患の人の中には、病名がたくさんほしい気持ちというのも存在しているのかもしれません。

